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4-5:焦り焦られ前途多難

 ……そして、その後。  私は美波のおかげでついに合コンへの参加権を手に入れた。  参加してしまえばもうこっちのものに決まっている。  ちょちょいとお持ち帰りされれば……。  ……されるといいんだけど。  合コンに参加する、以外の進展を得られないまま金曜日がやってくる。  ちょっと焦りはあったけど、今夜の合コンで決め打ちすればなんの問題もない。  こうやって言うとものすごく性格の悪い女だ。  実際、勝負という形は取っているものの、恋人が欲しいことに変わりはない。  どんなきっかけでもいい人に出会えたらそれでいい。  こんな私を好きって言ってくれる人がいたら、一生懸命その人に尽くしたいと思う。  かわいげがないと頭がおかしくなるぐらい言われる私だって、そんな風に思ったりするのだ。  そのためには……やっぱり多少キャラを作らなくちゃいけないだろうか?  そんなことを呑気に考えながら、会議室へ向かうために廊下へ出る。  会議は三十分後。その前に資料の準備をしなくちゃいけないのが下っ端の悲しいところだ。  それでも今夜は合コンがある。それだけが今の私の救いだった。  なのに。 「あ、俺も乗る」  エレベーターに乗った私を追いかけてきたのは、天敵菅原。  せっかくの気分もまた萎えてしまう。 「……何階」 「お前と一緒。俺、第三会議室で会議だから」 「なんで私が会議あるって知ってんの」 「小坂に聞いた」  美波め。余計なことを。  とりあえず、こいつと楽しくお喋りする時間は一秒もない。  エレベーターとはいえ二人きりになるのは嫌だったけれど、階段で行くわけにもいかなかった。  仕方なくドアを閉めて、なるべく遠くに陣取る。  しばらく、菅原は動かなかった。  今日に限ってやたらとエレベーターの進みが遅い気がするのはどうしてだろう。  確かに会議室まではかなりの階層を超えなければならないけれど。  居心地の悪さを感じながら、コピーするための資料を抱きしめていると、ついに菅原が動いた。  予想はしていたけれどタイミングまでは予測できなくて、びくっとしてしまう。 「あのさ」 「な、なに」 「お前、今夜合コンだって?」 「……それも美波に聞いたの?」 「そうだよ。あいつ、嫌味っぽく教えてきやがった」 「どうせあんたが無理矢理聞き出したんでしょ」 「ちげーし」  菅原が私に一歩近付く。  なにしてるの、エレベーター。早く目的の階まで連れて行ってよ。 「出んなよ、合コンなんか」 「な……なに言って」 「恋人なんか作らなくていいじゃん」  気が付けば私はエレベーターの隅で菅原に追い詰められていた。  いつもはへらへら馬鹿みたいに笑ってるくせに、今だけは……ひどく真剣な顔をしている。
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