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2-8:逃げられない二度目の夜

 菅原の声が、そして手が私の身体をくすぐっていく。  大きな手のひらが私を捉えてするりと前に伸びてきた。  抵抗も忘れて硬直していると、その手は私の胸を包み込んで。 「そ、そういうのは……だめ」  ぱっと振り返って、頭がふらっとした。  バランスを崩した身体はそのままこつんと背後の窓ガラスにぶつかる。  それを菅原が見逃すはずなかった。  私の背中を窓ガラスに押し付けて、顔の真横に手をつく。  これは俗に言う壁ドン、というやつでは?  そう思った瞬間、ただでさえ熱かった顔が一気に火照った。 「や、やだ」 「何が」  菅原の顔が近付いて、キスしそうなぐらいの距離で止まる。  私があとちょっとでも動いたらきっと唇が触れ合ってしまう。もうこいつとキスなんてしたくないのに、私の身体があの時の事を思い出し始めていた。  とろけるような気持ちいいキスをされたい。手で、指で、舌で、唇で、どろどろになるまで愛撫されたい。前回は止まってしまったあの先に踏み込んだらどうなってしまうのか……こいつに教えられたい。  ああ、やっぱり私、すごく酔っている。  そうじゃなかったらこいつにこんな事を思うわけがない……。 「別に俺にされんのが嫌なら、お前がしてくれてもいいけど? 手でも口でも使って、俺の事満足させてみたら」 「な、な……」 「俺にびびってるお前見てると、勃つ」 「ど……どっかおかしいんじゃないの……!?」  叫んだ声が半分悲鳴になったのは、菅原が私の足にブツを押し付けてきたせいだった。  今まで男性のそれを触ったことなんか一度もない。だけどこの状態がいわゆる『勃つ』という状態で、よく言う『硬くなってる』がこんな感じで……。  目の前がくら、と揺れた。  私は今、菅原に欲情されている。こいつは私を見て興奮して、つまり、その、セックスをしたいと考えているわけだ。  ……そんな盛った男に処女だなんてバレたらどうなる?  いやいや、そもそも菅原という男にバレるのだけは勘弁だった。死んでもバカにされるに決まってる。  この歳になってまだ未経験か、やっぱり言った通りお前を抱きたい男なんていない――。  ……そうやって言うくせに、こいつは私に興奮している。 「してよ、浅木」 「や、やだよ。そんなの擦りつけないで……!」 「ちょっと手で触ってさ。やり方なら教えるから」 「絶対嫌! 汚い! 他人のそんな場所触れるわけないでしょ!?」 「俺は触れるよ。お前なら」 「ひっ……」  声まで熱くて耐えられなくなる。  逃げるようにして私は菅原の身体を押しのけた。  だけど悲しいかな、私はまだ酔いが覚めていない。ぐらっと不安定に揺れた身体は――こういう時のお約束なのだろう。側のベッドに向かって倒れ込んだ。 「へぇ、誘ってんのか?」
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