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第2話

あたし、龍生とキスしてる……? 親戚なのに、こんなことしていいのかな? 龍生は何のつもりでキスしてるの? 頭の中は大混乱だった。 そして龍生は、なかなか唇を離そうとしない。 ただ強く押し付けられるだけのキス。慣れてないんだな……なんて、ちらっと思ってしまう自分がいた。 「龍生」 あたしは自分から離れた。 「なんでこんなことするの?」 目を合わせて聞きたかったけど、顔を見られるのが恥ずかしくて、龍生の胸に頭のてっぺんを押し付けて下を向く。 「くやしいな」 龍生はあたしの頭に手を回して抱き寄せ、髪を優しく撫でた。 「キス、初めてじゃないだろ?」 あたしの心臓はどきんと跳ね上がる。 たしかに初めてじゃないけど……でも……言わなきゃいけないのかな? 「龍生、あたし……」 言いかけた時、玄関の戸がガラッと開く音が聞こえた。 「おーい、龍生!」 「帰ったぞー!」 陽気な祖父たちの声がして、あたしと龍生は慌てて離れた。 それから夜まで、あたしは上機嫌で帰ってきた祖父と大叔父に引き留められて話し相手になった。 結局、すっかり酔っ払った2人の介抱までするはめになり、龍生はスポーツ飲料や二日酔い予防のドリンクを買いに行ってくれた。 「そういうわけで遅くなっちゃった」 母に電話して今から帰ると連絡すると、泊めてもらいなさいと言われた。 「寒いし危ないから。迎えに行くほど子どもじゃないでしょ。ついでに朝ごはんの面倒もみてあげて」 「わかった。明日帰るね」 あたしは素直に応じて電話を切る。大叔父と一緒に龍生も来ていることは、何となく言えなかった。 「子どもじゃない、か……」 母の言葉が耳に残っている。同じ言葉でも、母が言う意味と、あたしの頭の中にある意味はたぶん全然違う。 ーーあたし、期待してるの? 認めてしまうのは恥ずかしいし、何だかくやしい。 「遥花も泊まるの?」 背後から龍生に声をかけられ、あたしはびっくりして心臓が口から出るかと思った。 「うん……お風呂わかすね」 考えていたことを見透かされそうで、逃げるようにその場を離れた。 大騒ぎしていた祖父たちだが、寝静まるのは早かった。 「じいちゃんたち、ごはん食べてないけど大丈夫かな?」 龍生が買ってきたインスタントラーメンを作りながら、あたしは何気なく話しかけた。 「酒のつまみで色んなの食べてたし、平気だよ」 「そっか」 「遥花にメシ作ってもらってるなんて、変な感じする」 「ラーメンは料理とは言えなくない?」 「調理するんだから一緒だろ」 龍生は後ろからあたしの肩に頭を乗せてきた。 「危ないよ」 そう言いながら、あたしはガスを止め、龍生の頭に手探りで触れた。 「遥花と寝たい」 龍生は首筋に唇を押し付けて囁いた。熱い吐息がかかり、あたしの体はぶるっと震える。 「同じ布団で寝たい」 「どうして?」 久しぶりに会ったハトコとこんなことになるなんて、あたしは心の準備も何も出来ていなかった。 龍生は嫌いじゃない。初恋の人なのは本当だ。触れ合えることを喜んでしまう自分がいるのも、くやしいけど認めざるを得ない。 でもこのまま、龍生の気持ちを聞かないで流されるのだけは嫌だった。 「遥花が好きだから」 とても小さな声。 それでも龍生の真剣さは伝わって来る。 「なら、いいよ」 あたしの胸に龍生への愛しさが広がっていく。 元彼との付き合いは、告白されて何となくはじまった形だった。デートして手を繋いで、何度かキスをして、求められるままに服を脱いだのに、何もしないで終わってしまった。 別れた時それなりに悲しかったし、勝手な言い分に腹が立ったけれど、心のどこかではホッとしていた。 ーー体を繋げるのは本当に好きな人とじゃないと嫌。 そう思う時、頭に浮かぶのはいつも龍生のことだった。 親戚なんだからまた会えると思っていたのに、急に会えなくなってしまったハトコ。小学生のあたしは龍生が大好きだったのだ。 そして、龍生より好きになれそうな男の子には巡り会えなかった。 食事を終えたあたしたちは、言葉少なになってそれぞれ片付けや入浴を済ませた。 「遥花」 髪を乾かして廊下に出ると、龍生に手招かれた。 「客間はじいちゃんたちが寝てるから」 そう言ってあたしの肩を抱き、奥の部屋に連れて行かれる。曾祖母が生きていた時に使っていた部屋だ。 「あったかい」 ファンヒーターが置かれている。 「用意しといてくれたんだ」 どこから出してきたのか、ダブルサイズの布団が敷かれ、枕が2つ並んでいるのを見て顔が赤くなった。 「これも準備万端だから安心して」 龍生が小さく平べったい箱をカサカサ振って見せた。コンドームだと気付き、あたしは絶句する。 「遥花、優しくするから」 甘い響き。 龍生に手を引かれて布団に倒れ込み、抱き合って軽いキスを繰り返す。 「龍生」 あたしは思い切って口を開いた。待っていたように龍生の舌が侵入してきて、キスは深いものへと変わる。 ーーこれが龍生の味。 舌を絡め、吸いつき、舐めまわす。口の端から唾液が垂れて……でも、もうどっちのものかわからない。 キスの嵐の中、龍生は急にあたしの胸に手を当てた。 「あ、やだ」 思わず抵抗すると、龍生は優しく微笑んだ。 「小さい方が好きって、言っただろ?」 「がっかりされたくない……」 「大丈夫だよ」 龍生の手が寝間着がわりのシャツの裾をまくり上げていく。ちょっと強引。あたしはショーツだけの姿にされ、恥ずかしくて慌てて毛布にくるまった。 「遥花、見せて」 「あたしだけ裸なんて恥ずかしいよ」 「じゃ、俺も脱ぐから」 龍生はバッとTシャツを脱ぎ捨て、上半身裸になった。細身なのに胸や腕にはちゃんと筋肉がついている。 「何ガン見してんの?」 龍生はいたずらっぽく笑って、毛布の中に滑り込んで来た。肌と肌が触れ合い、あたしはまたあのぞくぞくした感覚がこみ上げてくるのを、はっきり自覚した。 「可愛いよ」 龍生は最初の言葉通り優しく胸に触れて、柔らかく揉みはじめる。大きな手にすっぽり覆われると、不思議な安心感を覚えた。 「あっ」 中心の突起をいじられ、刺激の強さにうめくと龍生は手を止め、口を寄せてそっと舌で転がしはじめた。 「龍生」 胸に吸い付いている龍生が、何だか可愛くなってきて、彼のさらさらの黒い髪を優しく撫でる。 ぎこちない愛撫だったけれど、時間をたっぷりかけてくれたせいで、あたしは信じられないほど濡れてしまった。 「いくよ」 熱いものが押し当てられ、龍生がゆっくりと侵入して来る。 「痛……」 先端が入口をくぐる時、激痛が走った。 「ごめん」 思わず上に逃れようとしたあたしの肩を、龍生は両手で押さえつけて一気に貫いた。 「ああっ」 気が遠くなるような痛み。だけどそれは急速に和らいで消えていき、龍生の熱だけが残った。 じっと動かず待っていてくれる龍生を見上げ、あたしは微笑みかけた。 「龍生が好き」 愛しすぎて泣きたくなる。 「ちょっとだけ、動いていい?」 龍生の問いにうなずくと、キスが降ってきた。 「力ぬいて」 優しく揺するような動きに、だんだんお腹の奥が疼きはじめる。 やがて龍生の表情に余裕がなくなってきて、腰の動きが早まっていく。あたしは必死に龍生にしがみついて耐えた。 「好きだ、遥花」 龍生がぎゅっと強くあたしを抱きしめる。お腹の奥で熱いものがドクドク脈打つのを感じた。
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