1 / 6

第1話 冬の訪れ

 身近で恋人を作るのも、善し悪しだ。  別れた後が困る。    キャンパスの前庭で、大和(やまと)の後姿を見かけた真麻(まあさ)は、三講目の講義に合わせて登校したのに、踵を返してしまった。  振り返りたい気持ちを抑えて、足早にその場を去る。  大和の隣に、女の子の姿がなければまだ動揺しなかったのに。  恨みがましく、そんなことを思ってしまう。  元カレの大和が、親しげに女の子と一緒にいるシーンを見るのは初めてではなかった。なのに、真麻はまだ慣れない。 ――寒い。別れた時はあんなに暑かったのに。  それだけ季節が流れたのに、真麻の心は癒えてなかった。手ひどい失恋だったのことも確かだが、大和は真麻の初めての相手だった。別れ話の時、みっともなくも縋ってしまったことも、自己嫌悪の原因だった。  早く忘れたい。でも、同じ大学に通う以上、相手の姿が目にはいってしまう。共通の友人も多く、どうしても噂も伝わってくる。  中には、真麻と大和が交際していたことを知らずに、大和の女関係を話題にするものもいた。 『あいつ、また●●女子大の合コンで食い散らかしたみたいでさ~』 『やっべーよな。いい加減落ち着けよって話なんだけど』 『今は、うちの一年だろ? ホテル連れ込んだってきいた』  付き合ってから判ったことだけど、大和はそうとうに女遊びが好きだったし、女性にもモテていた。真麻も、そんな彼のスマートなところに引かれたし、実際話も上手く楽しかった。  真麻は、そんな大和と初めてのセックスをして幸せだった。大和に他にも関係を持っている女がいると知るまでは。   ――真麻、今どこー? 三講目来るっていってたじゃん  LINEのメッセージは優哉からだった。同じ学部の男友だちで、三講目の同じ講義を履修している。そういえば、昨日学食で会った時に、翌日の予定を聞かれていた。  真麻はキャンパスを出て、歩いて五分ほどのコンビ二にいた。雑誌を立ち読みしていたところだった。 ――なんかめんどくさくなったからさぼり~。今、西門の角のコンビニにいるわ。午後からは出るつもり  そう返事すると、すぐに優哉から返事がくる。 ――俺も腹減ったから、いくわ。待ってて  待っててって。講義を抜け出してくるんだろうか。  真麻は、少し呆れて溜息をついた。  優哉は、心置きなく話せる友人の一人だけど、元々は大和の友人なのだ。別れた後も、態度が変わらず接してくれるのはありがたかったが。  大和のこと、思い出しちゃう……。  真麻は再び溜息をついた。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!