69 / 74

第69話

 二階の寝室に着くなり抱きしめられて、唇を押しつけられた。  性急に腰に回された手が、ワンピースの裾を荒々しくたくし上げる。白いレースに包まれた肉付きのよい臀部がさらけ出された。無骨な手が柔らかい尻を鷲づかみ、形が歪むほど揉みし抱く。息こそ乱れていないが、その手つきが余裕のなさを感じさせた。  噛みつかれるようなキスをされながらも、亜紀は和明が着ているリネンのジャケットを脱がしにかかる。それに気づいたのか和明が、抱きしめていた腕を解き、手伝うように腕を上下させる。  シャツのボタンを外しながら、和明が体を押しつけてくるものだから、自然と亜紀は後ずさる。そしてベッドまでたどり着いたとき、二人はなだれ込むように倒れ込んだ。  両脚のあいだに和明の脚が差し込まれ、まくれ上がったリネンのワンピースをたくし上げられた。亜紀は和明の背に回した腕を解き、両手を上げる。するりと着ている服を脱がされて、白い下着を身につけただけの姿にさせられた。  唇がなんの迷いもなく離れ、ほっそりとした首筋に押しつけられる。シーツに広がる髪の生え際から鎖骨に至るまで口づけられて、その心地よさから亜紀はすっかり濡れた唇から吐息を漏らした。和明の腕を掴む指先に力がこもる。  ボタンを外し終えた和明は、片手で体を支えながら、白い胸元に唇を押しつける。そして、ベルトを緩めシャツを慌ただしく脱ぎ捨てた。あらわになった逞しい体が、ベッドに横たわる女体に覆いかぶさり、濡れた唇を荒々しく奪う。  呼吸を乱しながら組み敷く男の体が熱い。その熱に呼応するように、体の芯が再び熱を帯びてきた。繊細なレースに隠れた場所がじんと火照りだし、触れられるときを待ちわびてむずむずと疼き始める。それを逃そうとして、亜紀は和明の腰を脚で挟み込もうとした。そうすれば、疼きを逃がすことができると思ったからだ。  すると、いつの間にか腿に下ろされた手により、ぐっとそれを持ち上げられる。開いた脚を押さえるように、硬い脚で押さえ付けられてしまった。そのことにより、疼きがどんどんひどくなり、亜紀を苛み始める。  目にも鮮やかな紺色のベッドカバーは、亜紀が体を捩らせるたびに乱れていく。午後の日差しが窓から差し込む部屋に、二人の切羽詰まった息づかいとベッドが軋む音が響いていた。部屋に漂う空気さえ、次第に熱を帯びてくる。  本音を言えば、今すぐにでもこの疼きをどうにかしてほしかった。だが、肝心の和明は、未だに体に触れてこない。それがどうにも焦れったくて、亜紀は急かすように腰を押し上げた。  すると突然、ブラのレースを引き下げられた。ワイヤーに押し上げられた柔らかな乳房が、ふるんと揺れながらまろび出る。その先端はふっくら立ち上がりかけていた。しっとりと汗ばむ乳房を円を描くように和明が揉みし抱くと、さらけ出された尖りがぷくんとそそり立った。 「ん……っ」  いきなり乳房を荒々しくこね回されて、亜紀は舌を絡めながら声を漏らす。それを合図にしたかのように唇が離れ、喉をたどり胸元へと下りていった。今度は唇を押しつけられるだけでなく、吸い付かれていた。場所を変えるたびに痛みが走るが、耐えられないほどではない。むしろ、そうやってあとを付けてほしいと、亜紀は思う。そうすれば、離れているあいだ寂しさを感じずに済むような気がして。もっとねだるように、和明の頭に手を伸ばし、しっとりと汗ばむ髪に指をくぐらせた。  和明の手が、まだレースに覆われているふくらみに伸びた。そして、ゆっくり焦らすように引き下げると、すっかり立ち上がった乳嘴(にゅうし)とともに、うっすら赤みを帯びた乳房があらわれた。片方の乳房をこね回していた手が、根元に添えられぐっと持ち上げる。それまで胸元に口づけていた和明が、ピンとそそり立っている先端を口に含んだ。 「あ……っ!!」  勃ち上がっていた乳首が熱い。急に柔らかなものに包まれて、その上硬いもので転がされる。思わずそちらに目を向けると、和明が乳房を捏ねながら、もう片方の乳房にむしゃぶりついていた。亜紀は浅い呼吸を繰り返しながら、その様子を眺め始める。弾力のある舌先で転がされては、聞くに堪えない音を立てながら吸い付かれる。それだけでなく、柔らかい唇で挟まれながら軽く引っ張られていた。同時に揉みし抱いていた乳房の尖りをきゅっとつままれる。 「んっ!!」  両の乳房の先端から、異なる痛みが走る。その痛みが引くのと同時に、快感がそこから伝ってきた。亜紀は軽く背を反らす。 「もっと、してほしいのか?」  濡れた先端に熱い息が掛かる。喉さえ反らしていた亜紀は、潤んだ目を眇めながら、和明へと目を向けた。すると、乳首に舌を這わせたままの男から、狡猾そうな笑みを向けられている。彼の髪にくぐらせていた指先が、どうやら頭をかきむしっていたらしい。それを要求と捉えられたらしく、だからわざと尋ねてきたのだろう。無意識とはいえ、ねだるような真似をしてしまったことが急に恥ずかしくなり、亜紀はふてくされた顔をしてぷいとそっぽを向いた。 「たっぷりしてやる。お望みのままに、な」  すると、それまでとは異なる痛みがそこから走った。亜紀は思わず顔をしかめさせる。  それまで乳房をこね回していた手が突然離れた刹那、素早くショーツに無骨な手が差し込まれる。 「ああっ!!」  指先は敏感な突起を通り過ぎ、迷うことなく下りていった。そこを一瞬でも掠められたとき、鋭い快感が電流のように突き抜け、亜紀は声を詰まらせる。男にしてはほっそりとした指が、既にしっとりと濡れている秘所へたどり着いた。指先が入り口をくるりと撫でた瞬間淡い快感が走り、亜紀はとっさに逃げようとして腰を捩らせる。だが、それも虚しく指は淫蜜がしみ出している場所へと入り込んできた。 「なんだ。胸しか触れていないのに、すっかり濡れているじゃないか」  暗に淫らと言われた気がして、亜紀は耐え難いほどの羞恥を覚えた。体の芯だけでなく、全身が一気に熱くなる。しかし、差し込まれた指を、知らず知らず締め付けていた。 「これだけで、良いのか? 締め付けてるぞ、俺の指を」  浅いところを抜き差しされるたび、そこからじわじわと快感が迫る。亜紀はそれに耐えようと、今にも泣きそうな顔で指を噛んだ。その姿に気づいたのか、和明が険しい顔になる。指を奥へと進ませて、ある部分を撫で始めた。それと同時に、親指で敏感なところをぐりぐりとなで回す。  すると、じんじんと疼いていたところから、鋭い快感が走る。指で撫でられているところから走る快感が、強烈な快感により増幅されただけでなく、ひとつになって膨れ上がった。  一気に膨れた快感は、どんどん密度を増していき、亜紀を急速に高みに押し上げた。体がひとりでにわなわなと震え出す。やがて、体の内側で膨れ上がった快感が突然はじけ飛んだ。意識と思考が一気に消え失せる。亜紀は和明の頭をぎゅっと抱え込み、体をがくがくと震わせた。 「あああっ!!」  溜まった熱と膨れ上がった快感が混ざったものが一気に放出されたとき、亜紀は全ての感覚を失った。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!