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第7話・あまくあまく

「あぁー! また散らかしてる! まったくもう……」  寒い寒い冬が終わろうとしている頃、とうとう幸が同居に踏み切った。ボクのだらし無さと、執着心と、ほんの少しの愛情の変化に呆れたと言った。  引越しの前に、運び込む家具や荷物のレイアウトを確認するために家に来た幸は、相変わらずのボクの部屋にため息をついた。 「先週片付けて帰ったのに、もうこれ? 信じられない!」 「だからメールでごめんねって送ったよ?」 「こんなんじゃ、いつまでも来れないんだけど」 「それは……困る」 「じゃあしばらくは毎日片付けて」 「……努力はする」  返事の回答は聞きたい答えではなかったみたいで渋い顔をしていたけど、ゴミ袋をボクに差し出して幸は足元のポテトチップの袋を拾った。 「幸」  その手を引っ張って、少し強く幸の体を抱きしめた。 「だいすき」 「なに、突然どうしたの?」 「仕事も、片付けも、幸との時間も、全部頑張るから」 「うん?」 「捨てないで……」  幸の柔らかい胸元に顔をうずめて、懇願するように呟いた。ふは、と幸が噴き出した。 「急に何かと思えば……そんなこと」  ワガママな子供を諭す母親みたいにボクの頭を撫でながら、優しい声を発した。 「いつ、あたしが冬馬を振るなんて言った? もう同居まで決めたんだよ、今さら離さないよ」  はい、さっさと片付ける! 背中を軽く叩かれ、体を離すと再びゴミ袋を押しつけられた。ボクは耳を赤くさせた幸の後ろ姿を見て、心から愛おしく感じたのだった。 ――作戦通り。ボクの思い通りに動いてくれて助かった。幸、気付いてる? 全部、ボクのためにしてるんだよ。 「冬馬! ぼーっと突っ立ってないで手を動かす!」 「はぁーい」  甘い砂糖菓子の罠を張って、待っている。 End
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