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第3話・ソワソワしている

 意外と早くに掃除が終わった。ちょっとやる気を出せばこんなものか。それでもとっくに昼は過ぎていたから、夕方にして貰って正解だった。窓を閉めて再びエアコンをつけた。吹き出し口から暖かい風が顔面に吹きつけてくる。風力を最大にしたから幸が来る前には暖まると思う。きっと寒さで顔を赤くしてくるだろうから、暖まってくれないと困る。  日課の筋トレでもして待っていようか、買うだけ買って満足した未開封の本も沢山あるから読まないとだ。やることたくさんあるのに、妙にソワソワして進まない。観葉植物に水をあげたり、無駄に冷蔵庫を開けて材料を確認したり、戸棚を開け閉めしたり。 ――ホワイトシチューにしよう。  幸の好物のひとつ。ちょうど野菜も牛乳もあるからそうしよう。材料使い切らなくて良かった。鶏肉、人参、じゃがいも、玉ねぎ、ブロッコリーの定番具材。市販のルーは幸が嫌がるから使わない。ついでにカッコつけて買ったブラックオリーブの瓶が、未開封のまま賞味期限間近だったのを見つけたから使うことにした。さすがに全部は使えなさそうだなぁ……。  出来上がったのは黒い寸銅鍋に映える白いシチュー。白い中に野菜のカラフルな色がかくれんぼしていて、食べて貰うのを待っている。もう少し待ってね、主役はまだ来てないから。  干していた布団を取り込んで、乾燥まで終わらせたシーツをかけて押入れに片付けた。枕もカバーをかけて布団の上に乗せる。部屋の隅にあった筋トレ用の器具が目に入った。やっぱりちょっと体動かして先にお風呂入ろう。  お風呂から出てふぅ、とため息をついた時、今から行くよー、と幸からメッセージを受信した。 〈お疲れさま! 待ってるよー〉 〈どう? 部屋片付いた?〉 〈うん、なんとか〉 〈あ、晩ご飯どうするの?〉 〈もう用意したよ、幸が好きなもの〉 〈え、なになに?〉 〈内緒。来てからのお楽しみってことで〉 〈えー、冬馬ってたまに意地悪だよね〉 〈来たらその言葉、撤回してよ?〉 〈美味しかったらね。家まであと十分くらい〉 来る。もう来てしまう。了解、と返事を送って、再度室内を見渡す。きっと大丈夫、出しっぱなしの服も、食べ終わって放置された容器もない。 ――ピーンポーン……  来た! 「はーい!」  頑張ったんだから、報われてもいいよね。
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