1 / 7

第1話・突然の電話

 唐突だがボク、向坂冬馬(さきさかとうま)には年上の彼女がいる。身長はとても低いのに、出るところとくびれているところの差がくっきりしていて、つまりはスタイル抜群で可愛い子だ。  ある冬の朝、その彼女――一之瀬幸(いちのせゆき)から、電話がかかってきた。寝起きにテレビのニュース番組を流し見しながら、携帯電話でSNSを開いた時だった。 「はい、もしもし」 『あ、もしもし冬馬? あたし、幸だけど。今日、家に行ってもいい?』 「え、今から?」 『明日から仕事休みだし、久しぶりに。多分昼すぎくらいかなぁ……都合悪い?』  聞こえた問いに、携帯電話を握る手に力が入った。チラリと室内を見渡せば、足の踏み場のほとんどない荒れた景色が目に入る。 『あ、もしかして、また散らかってるの?』 「えーと……」  どう濁すか考えていると、ピタリと当てられてしまった。図星だ。耳の奥に、ケラケラと幸の笑い声が響く。こういうところは、幸には敵わない。 『ふふ、しょうがないなぁ。じゃあ夕方にする?』 「それなら……なんとか」 『りょーかい。じゃあ夕方の……五時くらいに行くね』  手元の時計を確認する。 「分かった……がんばる」 『あはは、期待してるよ』  よろしく、と言って通話が切れた。  ……さて、間に合うのか。ため息が漏れた。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!