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コーヒー片手に、愛を語って

桐島とは、その後カフェで良く顔を合わせるようになった。 話を聞くと彼の会社は銀座にあり、このカフェも以前から頻繁に利用していて、私の事も元々知っていたとのこと。 制服とメイクで、どこで働いているかも簡単に検討がついたと思うし…。 「それで、僕のお姫様になる気になった?」 桐島がコーヒー片手に、私を見つめる。 「桐島さんのことは、よく分かりました。でも、どうして私なんですか?」 彼のことは、こうして顔を合わせた時に話をして知った。 話し方は物腰柔らかく紳士的なのに、笑うと子供のようなこと。 イタリアの血が四分の一流れるクオーターで、日本の大学院に進学するまではイタリアで育ったこと。 会社は彼が代表だが共同経営者がいて、その人が優秀で、起業して8年目で一部上場まで成長できた事。 学生時代はずっと、バスケットボールをしていたこと。 コーヒーとチョコレートに目がなく、私の勤める百貨店に出店しているチョコレートショップの常連様だということ。 整い過ぎて話しかけ難い見た目とは裏腹に、気取らないところも好感を持てる。 目を引く容姿と実業家なことを抜きにしても、桐島という男がモテるのがよく分かった。 ただ、思い返すと、これまで彼から口説かれはしたが、私のどこを好きになってくれたのか、聞いたことがなかった。 初めは鬱陶しく感じていたのに、真面目に向き合っても良いかと思い始めている自分がいて、慣れとは恐ろしいものだと、改めて感じる。 「そうだね。僕としたことが、まだキチンと伝えられていなかったね。  美しい黒髪と少し気が強そうに輝く瞳。  僕と話をするときに、品よくほほ笑みながら毒を吐くところ。  たまに働いている所も見かけるけど、真剣に接客している姿も美しいと思ったし、  あと、一緒にコーヒーを美味しく飲めるところも好きだな。」 自分で振っておきながら、面と向かって自分の好きな所を言われるというのは照れ臭い。 「…ありがとうございます。」 「ふふふっ。もしかして、照れてる?」 「少し。」 「恋に控えめで、うぶな所も可愛いね。」 「…恥ずかしいので辞めてください。」 「どうして?本当はもっと、愛を語りたいのに。」 (恋愛ブランクの長い私には、情熱過ぎる。。。) 普段、気さくな話ししかしていないが四分の一はイタリア人の男。 むしろ四分の三が日本の血が流れる、イタリア生まれイタリア育ちの男。 と言った方が良いのだろう。 歯が浮くような甘い言葉を、当たり前に言えちゃう人種なのだ。 …愛を語る時は、照れたほうが負けよね。
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