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第33話

 切なげな表情を浮かべる彼を見上げながら、はち切れんばかりに膨らんだものに舌を絡ませた。そして唇をすぼめ扱き始めると、その表情がみるみるうちに苦悶にゆがむ。するとそれまで感じていた喜びが違うものへと変化し始めた。  彼の一喜一憂を私が支配している。そう思ったとき、えもいわれぬほどの愉悦を感じた。それはかつて恋人だった男には一度も感じたことがないものだった。  彼の表情の変化を楽しみながら、ぐちゅぐちゅと音を立てながら責め立てていると、彼が低い声で唸りだした。それだけでなく下半身がびくびくと震えだし、腰を勝手に揺らし始める。荒い息を吐きながら声を漏らす彼を見つめながらがっしりとした腰を手で押さえつけると、ついに耐えきれなくなったらしく、ぎゅっと目を閉じて天を仰いだ。  するといきなり頭を押さえつけられた。そしてぐっと喉奥へと怒張を打ち付けられてしまい、うっとうめいたと同時に反射的に吐きそうになった。鼻の奥がつんと痛み、涙が勝手にあふれ出す。息苦しさを逃そうと鼻で呼吸し始めると同時に、とくとくと喉に温かいものが注がれていた。  とろりとしたものが喉を滑り落ちていく。そして独特の匂いが鼻から抜けていった。頭上から息を吐き出す音がして上目にすると、彼は恍惚とした表情で私を見下ろしていた。  頭をつかんでいた大きな手が、髪をすきながら撫で始める。それが心地よくて目を細めると同時に、彼がしゃがみ込んできて私を柔らかく抱きしめた。 「すべて飲んだ?」  まだ完全に鎮まりきれていないのか、彼がうわずった声で尋ねてきた。それに頷いて応えると、少しだけ体を離した彼が濡れたままの唇にキスをした。そして私を抱きしめたまま立ち上がる。唇がゆっくりと離れると同時に唇に温かい息がかかった。 「じゃあ、御褒美をあげないとね」  嬉しそうな顔でそう言われたとき、自然と期待に胸が膨らんだ。彼が私の腰を支えながら歩き出し、ベッドへと向かった。そしてベッドの端に立たせたあと、私を見下ろした。彼はあの夜と同じ表情を浮かべている。一見穏やかにも見える表情ではあるけれど、向ける瞳の奥ではほの暗い炎が燃えさかっていた。  炎の揺らめきはあの夜の記憶を引き出すだけでなく、私の思考を飴のように溶かしていく。そして彼の声で告げられた褒美という言葉に反応し、体を熱くさせていった。あの夜と同じように抱かれると思っただけで、胸の奥から喜びが溢れてくる。  すると彼が私の胸元に手を置いて、軽い力で押してきた。私はなんの抵抗もせず、そのままベッドに倒れ込んだ。彼を見上げるとタイを外しながら、温度を全く感じさせないまなざしを私へと向けている。ジャケットを脱ぎ捨て、ドレスシャツを乱暴に脱いだあと、彼が告げた。 「足を開け。大きく」  命じるように告げた彼からは威圧感が漂っていた。その姿を初めて見せられたときは驚きを隠せなかったけれど、それをすんなりと受け入れていた。それまで散々快楽を刻み込まれたせいなのか、それとも私自身が自覚していなかった嗜好があったのか分からない。だけど従順に従うことでもたらされる御褒美は、とてもとても甘くて喜びに満ちていた。彼は私が欲しいものをいっぱいくれる。キスも抱擁も甘いささやきも。だからすぐにドレスの裾をまくり上げ両脚を開いた。火照りながらじくじくと疼くところに空気が触れて、そこがしとどに濡れていることを実感させられた。  彼の視線を感じ、温かいものがたらたらとこぼれ出し、更にそこを濡らしていく。そのことに羞恥を感じずにはいられなかったけれど、それを乗り越えた先には悦びが待っている。そしてその悦びは縄で得られるものより深かった。  あの夜彼は私を昂ぶらせるだけ昂ぶらせたけれど、欲しいものをいつまで経ってもくれようとしなかった。そのせいで肉欲の炎は燃えさかりなけなしの理性を跡形もなく焼き尽くし、結果あられもない言葉を口走っていた。そしてその後今と同じことをして、彼の望みを叶えた褒美として抱かれたのだった。彼は激しく私を求め、優しく囁き、深い快感と悦びを与えてくれた。まるでそれを肌のしたにまでしっかりと刻むように。  彼は私を見下ろしながら、開いた両脚の間に顔を埋める。濡れた場所に温かい呼気がかかり、思わず腰を震わせた。とめどなく温かいものが溢れる場所に熱いものが当てられて、その奥に入り込んできた。そしてゆっくりと抜き差ししながら、じんじんと疼くところを押しつぶしたとき、そこから電流のような快感が襲い、私は体をのけぞらせながら声を上げていた。
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