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Act.1-02

「――大丈夫か?」  私の不安とは裏腹に、隣から柔らかい口調で声をかけられた。  私はゆっくりと瞼を上げた。  そして、恐る恐る隣に視線を送ると、片足と両腕を組んだ姿勢で椅子に腰かけていた椎名(しいな)課長と目が合った。 「――すいません……」  私は身を縮ませながら謝罪した。  椎名課長はそんな私を怪訝そうに見つめながら、「何故謝るんだ?」と問い返してくる。 「俺は別に謝られることなんてされた覚えはないが?」 「――だって、さっき……、叫んだから……」 「叫んだ……?」  椎名課長はなおも首を傾げていたけれど、すぐに察したようで、「ああ」とひとり頷いていた。 「あんなのは全然気にしていない。藤森が俺をどう思ってるかなんて、とっくの昔から気付いてたしな。というか、嫌われてない方がむしろおかしいぐらいだ」 「――すいません……」 「だから謝らなくていい」  椎名課長は小さく溜め息を漏らしてから、私の前にビニール袋を差し出してきた。 「あの、これは……?」  不思議に思いながら私は訊ねる。  椎名課長は何も言わず、半ば強引に私にそれを押し付けた。  さすがに少し躊躇ったものの、結局は素直にそれを受け取った。 「これだけ寒い中で仕事してたんだ。相当身体が冷えてるはずだと思ってな」  椎名課長が言っている側で袋の中を物色してみたら、中から缶コーヒーが二缶、中華まんが全部で四個出てきた。
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