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公爵の帰還-9

「ああ――美しいよ、イリス」  感嘆したような声が薄い唇からこぼれ落ちて、なおのことイリスの顔は熱くなった。  まじまじと他人に足を見られて、こうして褒められたことなど今までありはしなかった。 「恥じらう姿も、初心でいい。実にそそられる」  まるで、実験結果を報告する学者のような口調だった。イリスはいたたまれなくなってドレスの裾を下げようとするが、彼の手がイリスの指を絡めてそれを阻んでくる。  相対して手を繋ぐような形になったイリスに、エルキュールはうっとりと微笑みかけた。 「言っただろう、イリス。君が拒まない以上、俺は君との戯れをやめる気はないぞ」 「ひゃ、ぅぅ……っ!」  次の瞬間、イリスの片足を持ち上げたエルキュールは、その付け根へと舌を這わせた。  柔らかい肉を堪能するようにそこを舐め、ふっくらとした丘陵の形をなぞるように、彼は秘された場所を暴いていった。 「ぁ……やっ、エルキュール様――そこ、はぁっ」 「君の一番深い場所だ。一番柔らかくて、清らかな……」  下着を除けたエルキュールは、ぴたりと閉じられたその場所にふっと息を吹きかけた。  婚約者とはいえ、殿方にそんな場所をまじまじ見られるという羞恥に、イリスはすすり泣くような悲鳴を上げて彼に抗議した。  だが、拒まないと自分で宣言してしまった以上、これ以上彼にやめてくれと言い放つこともできない。 「っあ、ん、んん……」  イリスは唇を噛んで、下腹からせり上がってくる感覚を必死に堪えた。  彼の舌先が、閉じられた淫裂をなぞる――声を堪えようと唇を噛んでいたイリスが、あっと思う間もなかった。  くちゅんっと水音が聞こえてくると、それまで感じたことのない震えのようなものが背筋を駆け上がってくるのだ。 「ひ、っん……! ぁ、あァッ!」  蜜口を撫でる舌の感覚に、イリスは体を震わせた。今まで知ることすらなかった快楽が、心臓が一度打つごとに体を駆け巡っていく。 「可愛いな。こういうのははじめてか? 今まで、誰かが君の――ここに触れたことは」 「あぁっ……!」  唇を離して体を持ち上げたエルキュールが、長い指で秘裂に触れた。それまでたっぷりの唾液を絡ませ愛でられていた場所は、にゅぷりと簡単にその指を飲み込んでしまう。 「ひゃ、っ――ぅ、ぁあ……そんな、こと……」  体に異物感を覚えはしたものの、わずかに痺れるような痛みが伴うせいでそちらにばかり気が行ってしまう。慣すように浅い位置を出し入れされる指に、イリスは何度も声を上げさせられた。 「あ、っぁん……! やぁっ、い、たぁっ……!」  わずかな痛みは、それでも何度か刺激を与えられると徐々に快楽へと置き換わっていった。目頭が熱くなるような感覚に喘ぎながら、イリスは力なく腕を持ち上げてエルキュールへと伸ばした。 「ぁ、あっ……エルキュール、さま」 「――イリス」  優しい声だった。自分の名前を呼ぶ愛しい声が、頭の中で響き渡る。  それでもエルキュールは指の動きを止めることはなかったし、次第に深い位置までその指を挿し込むようになってきた。 「あぁ、ぁ……なに、ッン――! くる、ぁ……なに、か――んんっ!」  指先でより奥を暴かれると、イリスの体の奥からなにかがせり上がってくるようだった。エルキュールによって与えられる快楽が大きくなり、体が揺れる――内奥からの疼きに、イリスは美しい瞳からぽろりと涙を零した。 「ぁ、んんっ……ふぁ、ぁ……」  それを押し込めるように、エルキュールが深くくちづけてくれる。彼にそうされるだけで、得体の知れない快感からくる恐怖は少し薄れていくようだった。 「ん――このまま、達してみるか」 「た、っする……?」 「俺の前で、淫らで美しい姿を見せてくれ」  熱の籠もった懇願が聞こえると、再びエルキュールはイリスと唇を合わせはじめた。絡んだ舌の心地よい体温を求めるように、イリスの手が彼の背に回される。 「ぁ、んぅ――む、ぅ……」  行為による羞恥と、彼への愛しさや今までの寂しさ――たくさんの感情が入り交じったまま、イリスは彼のくちづけと愛撫を受け入れた。  そんな彼女をきつく抱きしめながら、エルキュールはそれまで蜜路に挿入していた指を 引き抜き、その上部でわずかに主張してた秘芽を弾く。 「んぁ、ぁあっ! なぁっ、ぁ、ぁん……!」  それは、全く未知の感覚だった。その場所に触れられるだけで体が強張り、刺激を亜蛾得られた瞬間イリスの視界は真白く弾けてしまった。 「ぁ、あ……っ、ん――」  高みへと押し上げられた途端、体に鉛のような重さがのしかかってくる。  目を開けているのも億劫になって、イリスはそのまま息を吐いた。かすむ視界の端でエルキュールが口を開いていたが、なにを言っていたかまでは聞き取れなかった。  
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