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プロローグ-2

 一度ギリギリの浅い場所まで抜かれた肉楔が、一息に奥の間を穿つ。  体の中の臓器ごと押し上げられたような感覚に襲われて、イリスは一瞬呼吸を忘れた。 「ッは、ぁ……! や、あぁんっ!」  抽送は一層激しくなっていく。  軍人であり、鍛え上げられたエルキュールの体にも汗が浮かんでいた。  突き上げられる度に肌の上で互いの汗が混じり合い、そこからどちらともなく唇を重ね合わせる。 「ん、ちゅ――む……ぅ、んん」  キスを繰り返せば、互いの境界線がぼやけていくようだった。  エルキュールの広い手のひらが、豊かなイリスの乳房を揉みしだく。彼の手によって自在に形を変える乳肉は、それまでよりも大きな愉悦を彼女に伝えていった。 「はぅ、ゥ……ァ! あ、ッん……」  切なげな声が唇から漏れる度に、イリスは羞恥でおかしくなってしまいそうになる。  彼女とエルキュールが夫婦になってから、そう長い時間は経っていない。だというのに、無垢だったその体は彼の手で作り替えられ、今は与えられる言葉や吐息からですら快楽を得ることができるようになってしまった。 (はしたないわ、こんなの……)  エルキュールはこの王国の藩屏であり、国王の従兄だ。その妻である自分にだって相応の品格が求められる。だというのに、閨でこれほどまでに乱れてしまうだなんて、彼に幻滅されてしまうかもしれない。 「ぁあ……ぁ、見ないで……エルキュール様」  彼を愛しいと思う故に、自分が彼にそぐわないと思われるのはなによりも辛かった。  イリスはすすり泣くような声音でそう告げると、力が入らない腕を持ち上げて自分の顔を隠した。与えられる快楽に溺れてしまうような、そんな自分の顔を彼に見せたくはない。  だが、彼女のいじらしい抵抗は、エルキュール自身の手で簡単に終わりを迎えた。 「どうして顔を隠す? そんなことを、俺はお前に許可した覚えはない」  わずかに声を低くしたエルキュールが、鋭い目つきでイリスを見下ろしている。  軍人である彼のひと睨みは冷たく、たとえそれがイリスでなくても震え上がっていただろう。  およそ褥には似つかわしくないほど冷たい口調で、彼はイリスの耳元で囁いた。 「俺が酷い男だと――誹るならそうすればいい。嫌だと言われようが、この結婚を受け入れたのは君自身だ」 「そんな、ぁっ……!」  そんなことは、一度だって思ったことはない。  イリスの中でエルキュールは、いつまで経っても優しく頼もしい憧れの男性だった。結婚したからといって彼への愛情が消えるわけではない。  むしろ今まで以上に彼を愛しいと、そう思っているのに――。 「俺を欲したのは、君だぞ、イリス……こんな男はやめておけと、俺は最初に伝えたはずだ」  苦しそうに囁いたエルキュールは、イリスの腰しっかりと掴んだ。  そして羞恥と快楽で震えていた彼女の腰を固定すると、激しく腰を打ちつけはじめた。 「ひぅっ! ッア、は……ァンッ!」  刺激を受けて体の中からあふれ出した愛蜜が、より陰茎の滑りをよくしていく。  弱い場所を突き上げられながら胸の頂を口に含まれ、イリスは背を逸らして快楽を逃そうとした。だが、体躯が一回りも二回りも大きなエルキュールはそれを許さない。  片手でイリスの両腕をベッドに縫い止めると、もう片方の手で下腹の淫芽を弾いた。 「ぁ……あ、っん……だめ、ぁっ、き、ちゃう……!」  目の前で白い光が弾けるような感覚に、イリスは声を高く上げた。迫る絶頂の兆しに、何度も首を横に振る。 「――イリス」  濡れた声が、引き金だった。きゅっと肉蕾を摘ままれて、イリスの体は弓なりに反った。 「は、ぁあっ……!」 「……ッ」  短く息を吐いたエルキュールが、眉を寄せる。その瞬間に蜜壺の中では奔流が爆ぜ、イリスはそのまま深い眠りに落ちてしまった。
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