8 / 9

ずっと好きだった

「思い出してくれたみたいだね。僕はこの一年ずっと椿のことを見てきたよ。いつ思い出してくれるのかって思いながらね」 「ごめんなさい。だって、拓未くん変わりすぎて……」 「椿だって変わったけどね」 拓未くんはツンと私の額を突く。 「痛っ……」 「三年になったら絶対伴奏者に選ばれるだろうから、その時に言うつもりだったけど。僕と同じで一年で代理伴奏者に選ばれた椿が同じように失敗したらと、ものすごく心配だった。だからつい、厳しくしてしまったんだ」 そうだったんだ。 「ちっとも気づかない椿に、ちょっと腹が立ってたのもあるけどね。昔は平気で僕に抱きついたり、キスしてきたりしたのに、今は嫌そうな顔ばかりしているから」 「そんなこと! だって、私先生のことが好きだったのに」 しまったと慌てて自分の口を塞いだけれど、もう拓未くんは驚いたように目を見開いたあとだった。 「あ……だから、好きっていうのは先生として尊敬していると言う意味で……」 もごもご言い訳をしてみたけれど、耳まで熱くなっているのがわかる。 「椿の好きは先生としてだけ?」 「それは……」 「そっか、椿がそういう気がないなら、僕は諦めないとな」 拓未くんは哀し気にため息を吐く。 「拓未くんは、私のことを好きなの?」 「好きだよ。いつからかな。椿を目で追っているうちに、いつの間にか堪らなく好きになってた。嫌?」 真剣な目で拓未くんは私を見る。 拓未くんが私のことを好きだなんて――想いが通じるなんて思ってもいなかった私の胸は、バクバクしている。 「嫌じゃない。私も拓未くんのこと好きだったから」 「椿……」 拓未くんは私の名前を呼ぶと、唇を合わせた。 離してもまた何度も何度も唇を食べるようにキスをされる。 歯の隙間から差しこまれた温かな感触に思わず体を引こうとすると、後頭部が押さえられた。 頭の中が溶けそうだ。 一瞬唇が離れたと思うと、切なげな目をした拓未くんは、シュルリと私の制服のリボンを解いて、露わになった肌に音を立ててキスをする。 背中から差しこまれた右の手のひらが優しく肌を滑り、ゆっくりと胸のふくらみを包んだ。 左手はスカートの裾をまくり上げながら、何度も太ももを撫でる。 「拓未くん……」 拓未くんの指が触れる度に、湿った吐息がもれてしまう。 「椿ごめん。我慢しようと思ったけど、卒業まで待てそうにない……」 熱っぽい目をした拓未くんに見つめられると、頭の中がクラクラする。 返事をする代わりに私は自分から、拓未くんの唇に自分のそれを合わせた。 目を瞑る前に窓の外にちらちらとした、白いものが映った。 もしかして、雪が降り始めたのかもしれない。 「……椿、好きだよ」 拓未くんは私を抱き上げると、音楽準備室の隅に置かれたソファに寝かせてカーテンを閉めた。 覆いかぶさった拓未くんは、さっきよりも余裕のない表情をしていて、愛おしく思えた。 捲り上げられたセーラー服に拓未くんの髪が触れると、衣擦れのような音がした。 さっきまで指で触れられていた敏感な突起を彼の舌が包んで、その熱さに思わず身を捩って息を漏らしてしまうと、更に舌はねっとりと絡みついてくる。 膝の内側を拓未くんの手のひらがグイっと押し開く。 指先が滑るように脚の付け根まで下りてきて、優しく撫でられると私はピクンと体を震わせ、小さく声を上げた。
いいね
ドキドキ
胸キュン
エロい
切ない
かわいい

ともだちとシェアしよう!