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第12話

「……えっ」  なんで止めるの。  そう思って周くんを見ると、かたちのいい唇がニィっとつりあがっていた。目だけは真顔で私を見透かしているように細くなる。こういう時の周くんは怖い。恐怖とはちょっと違うけど、普段懐っこい笑顔を見慣れているだけに途端に正体が見えなくなる感じがして、怖い。  手の位置はそのまままに、周くんの長い指だけは微かに動く気配がある。でも肝心なところへは触れてくれなくて、つう、と撫でるようにしてるだけ。 「っ……!」 「ねえ、先輩?」  甘くて低くなった声が「先輩」ともう1度、耳に響く。 「な、に……」 「そろそろ時間、まずくないですか?」  焦れったさに喘ぎそうになった目で時計を確認する。  ――たしかに、コピーだけにしては少しかかってる程度の時間は過ぎてしまっていた。今までの私なら「会社ではやめなさい」って涼しい顔して軽く制して、余裕を持った態度でこの部屋を出て行けるはず。そのはずなのに―― 「……っんあぁっ…!」  ググ、と指が挿入(はい)ってきた。  いきなりのことで思わず出してしまった声を抑えようと手を口に当てても、周くんは許してくれない。楽しそうに笑って私の手を掴んだと思うと、さっきまで綺麗に資料の元が並んでいた長机へと押し倒してきた。  がたたと音が響き、隅に重ねてある資料が少し崩れる。 「ん、……っ!ま、待っ……あっ…!」  必死に首を左右に振っても周くんの指は私の膣内(ナカ)を撫で上げ掻き回し、引き抜いてはまた挿し入れるのを止めない。  マンションやホテルでならともかく社内でこんなふうに攻めてくるのは初めてで、場所と状況と時間の焦り、そして快感。全部がごちゃまぜになって頭が痺れそうだ。 「……すっごい濡れてますね」  は、と息を逃がすように周くんがささやく。  嘲笑にも高揚にも聴こえたそれにゾクッとした。  ……さっきから丁寧な言葉使いを崩さないことには気がついてた。『四ノ宮くん』の話し方で、周くんの攻め方をしてくる。  1番奥で長い指が意図的に曲がって、膣内(ナカ)をひっかいた。 「ひぅ…っ……!」 「気持ちい?せーんぱい」 「……や、あ……めっ……も……っ」 「もしかしてやめてって言ってます?」 「ん……!」 「ダメに決まってるでしょ?これは大朏先輩へのお仕置きですから」 「なっ……んあ、あ、あ、……っ」 「あーあ……もうイきそうじゃないですか」 「……ん、ああっ……!」 「連れてってあげますよ。ただし……」  指の動きが早まり、周くんの息が荒くなっていく。  仕事中とか会社でとかお仕置きって何とか色々頭の中ぐちゃぐちゃになって、目の前がチカチカして―― (も、もう……!) 「……っ!?」  ――途端、指が抜かれた。  ()し掛かられていた身体が離されて、背中に手を回されたと思ったらゆっくりと座らされる。押し倒されてた机の上に、そのまま。  息を荒げたままの私をよそに、周くんは慣れた手つきで私の乱れた服を直してくれている。そういえば、周くんはワイシャツのボタンひとつ外れてなくて、まったく乱れてない。 (なんで、私だけ……っ)  乱されたのは服だけじゃない。  心も、身体もだ。  さっきまで指が侵入(はい)っていた身体の奥がうずうずして、そこからどうにも逃れきれず周くんの手を掴む。すると彼は私を見てにっこり笑った。 「ただし、って言いましたよね?続きがあるんですよ」 「……な……?」 「ただし……ギリギリのところまでって」 「!!ひ、ひど……」 「でなきゃお仕置きにならないでしょう?」 「……お、お仕置きって……私何かした……?」  周くんの手が頬に触れる。  それだけでびりっとして身体を震わせると、ふふ、とまた笑う。三日月の唇に、笑ってない目。頬から首のうしろに回った周くんの指に力が入った。  たしかそこは数時間前、佐野に掴まれたあたり――
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