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???
「……あれ?」
目を開けると、自室ではなかった。
見知らぬ場所だ。
いや、今までだって十分に見知らぬ場所、怪しい洋館にいた。
登場人物もどこか芝居じみていた――けれど、それとは明らかに異なる現実的な場所だ。
ここはどこだろう。
暗くてよく見えないけれど、とても静かだ。
「ん?」
耳をすますと、どこからともなく機械音が聞こえた。
何の音だろう。ピ、ピ、ピ……と、小さい音が定期的に流れている。
音の出所を探っていると、薄ピンクのカーテンがふわりと風でめくれ上がった。
自然光が差しこんで部屋の様子が分かり、僕は驚きのあまり目を見張る。
飾り気のないクリーム色の壁紙に、淡いラベンダー色の床。
学校の施設のような――これは、ここは……。
「ここはどこだ? 〈外〉なのか? 帰って来れたのか? 僕は」
必死で周囲を見回すと、真っ白なベッドが見えた。
「ベッド?」
誰か眠っている。
僕は、おそるおそる近づこうとする――が。
「え?」
根が生えたように足が動かず――いや、指一本、動かすことが出来ずに、ひどく狼狽した。
(え、何なんだ、これ? また妙な〈世界〉に飛ばされたのか? ウソだろ)
冷や汗をかいている僕を尻目に、ガラリと扉が開いた。
(なっ……ちょっと、悲鳴とかやめてくれよ! こんな場所、好きで入ったわけじゃないんだ)
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