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鳥籠の中の虜囚

 朝が来ると、ナイチンゲールは、元の鳥の姿に戻っておりました。  皇帝陛下は、ナイチンゲールの為に美しい鳥籠を用意させて、その中へ閉じ込めました。  そうして、夜になり、鳥籠からナイチンゲールを出すと、ナイチンゲールは再び人間の娘の姿になるのです。  毎夜、皇帝陛下は、ナイチンゲールと(しとね)を共にしました。  時には、湯殿(ゆどの)の中で。  時には、庭園の四阿(あずまや)で。  人目を避けるように繰り返される情事に、皇帝陛下は溺れていきました。  最初は、人の姿である事に戸惑っていたナイチンゲールでしたが、夜毎の愛撫に慣れていきました。  一糸まとわぬ姿で、皇帝を誘う様は、どんな妃よりも、美しく、淫ら(みだら)でした。 「ああ、もっと、もっと、奥まで、くださいッ……おかしく、なっちゃうッ」  快楽に酔い、啼く声は、昼間の歌声以上に美しく、その声を知るのは自分だけなのだと思うと、皇帝陛下はナイチンゲールを離したくなくなるのでした。  しかし、ナイチンゲールは違いました。  皇帝陛下の愛撫に答え、乱れるものの、鳥籠は窮屈でしたし、森へ行くこともできません。 「森へ帰して下さい」  そう、ナイチンゲールが懇願しても、侍従達の手で、籠に囚われたまま外へ連れて行かれることがせいぜいで、自由に外を飛び回る事はゆるされないのでした。 「私のもとを離れるなど許さない、お前は、私の、私だけのものだ……」  皇帝陛下は、ナイチンゲールを寵愛するあまり、後宮へ渡らなくなってしまいました。  ナイチンゲールが、夜、人間の女の姿になって、皇帝陛下と睦みあっているなどとしらない侍従達は、理由がわからずに困惑するばかりでした。  このままではお世継ぎが……と、途方にくれる中、後宮の妃から提案がありました。
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